Abstract : |
大動脈弁位血栓Bjork-Shiley弁4例に対しウロキナーゼを用いた血栓溶解療法を施行し, 血栓弁に対する血栓溶解療法の有用性, 問題点, プロトコール(投与方法, 投与量, 投与期間, ヘパリンの使用の有無, 抗血小板剤, ワーファリンの併用)について検討した. その結果3例は本法にて治癒しえたが, 1例は軽度心不全症状を繰り返すためにパンヌス切除術と弁回転術を施行し症状の改善を認めた. 血栓溶解療法は, 血栓弁発症早期には有効な治療法と考えられたが, 本法に抵抗する弁機能不全症例は, パンヌスの存在を考慮し早期に再手術を施行すべきと考えられた. 血栓溶解療法のプロトコールとして, ウロキナーゼ大量-漸減投与法(ウロキナーゼ投与量を最大1日96万単位, 投与期間を最低1週間)にワーファリンと抗血小板剤及びヘパリンを同時投与することが, 再発, 合併症なく安全で有効な方法と考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1214-1221)血栓溶解療法は, 1971年Luluagaら1)が三尖弁位のStarr-Edwards人工弁血栓に対しストレプトキナーゼ(以下SK)による血栓溶解療法を報告して以来多数の成功報告がある. |