Abstract : |
若年(40歳未満)冠状動脈硬化症患者に施行したCABG(冠状脈バイパス術)30例, PTCA(経皮的冠状動脈形成術)18例の早期及び遠隔成績を40歳以上のCABG1,360例, PTCA765例を対照群として比較検討した. 更にそれぞれの術後に再interventionを施行した11例中7例と, event freeであった37例中18例の術後の高脂血症のコントロールを調査した. 若年者においてCABG, PTCAの手術死亡, 病院死亡はなく早期成績は良好であったが, 遠隔期にCABG群において再intervention率が23.3%と対照群の9.3%に対し有意に高かった. またPTCA群においても再intervention率は22.2%と対照群の15.0%に対し高い傾向を示した. PTCA群は術後6ヵ月の冠状動脈造影検査において再狭窄率が7.7%と対照群の40.9%に比べ有意に低かったものの, PTCA群は術後4年目の再intervention施行率は31%とCABG群の7%に比べ高率であった. 若年冠硬化症の術後の高脂血症のコントロールは再intervention群, event free群共にLDL, triglyceride, VLDLにおいて不良であった. 若年冠硬化症において, PTCAは成功率及び再狭窄率は良好であるが, 遠隔期には再intervention率で高い傾向にあり, CABGは動脈グラフトの積極的な使用が良好な成績をもたらすものと期待される. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1330-1335) |