Abstract : |
特発性間質性肺炎(IIP)は, それ自体が予後不良の疾患であり, また肺癌合併率も高い. 自験12例のIIP合併肺癌症例の内4例が術後急性増悪で死亡し, 8例が生存した. この両群を比較すると, 術前%FVCは生存群93.4%, 死亡群79.0%, 予測術後%肺活量は68.0%と49.8%, 予測術後一秒指数は58.2%と47.0%, 術前血清CRPは1.1mg/dlと3.7mg/dlで, 各因子とも両群間にp<0.05の有意差を認めた. 術後指標ではLDHは第3病日に生存群は370.6±85.9U/L, 死亡群は505.8±52.8U/L, %リンパ球数は第3病日で生存群は20.3±7.5%, 死亡群は8.0±4.3%でp<0.05の有意差を認め, 第3病日以後もこの両因子における生存群, 死亡群間の差は持続した. 以上よりIIP合併肺癌例の手術では, できるだけ肺実質の温存に努める必要があり, またIIPの活動度の指標としては, 術前では血清CRP値が, 術後ではLDH, %リンパ球数が有用な因子であると考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1933-1939) |