Abstract : |
23歳, 男性. 拡張型心筋症にて心臓移植を施行した. 移植1ヵ月後にISHT分類3aの拒絶反応を呈し, ステロイド, Muromonab CD3(OKT3)投与にて一時緩解した. しかしながら, 移植後5ヵ月後に再燃し, ISHT分類3aの拒絶反応を認めた. このため, シクロスポリンを中止し, タクロリムス(FK506)(0.02mg/kg/日)の投与を開始し, 血中濃度を8ng/mlに維持した. FK506投与後拒絶反応は著明に改善し, 低濃度のFK506にて拒紛反応のコントロールが可能であった. 血中クレアチニン値及びCD8陽性細胞数もシクロスポリン使用時に比較して下降した. FK506の副作用としては, 一過性の徐脈発作及び手指振戦が認められた. しかし, FK506血中濃度の低下と共に改善し, 退院となった. (日本胸部外科学会雑誌1994;42:1972-1976)タクロリムス(FK506)は本邦において開発された新規免疫抑制剤であり, シクロスポリンの100分の1の低濃度でリンパ球混合培養反応, T細胞産生, インターロイキン2, 3, 4, 5を抑制することが報告されている1)2). |