アブストラクト(43巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 一動脈グラフト二領域冠状動脈バイパス術の検討
Subtitle :
Authors : 林載鳳, 川上恭司
Authors(kana) :
Organization : 広島総合病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 1
Page : 10-13
Year/Month : 1995 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 冠状動脈バイパス術(CABG)において, 動脈グラフトは静脈グラフトに比べて術直後の流量が少ない可能性が指摘されている. 今回, 1本の動脈グラフトで2領域にバイパスを行う術式の適否を明らかにする目的で臨床的検討を行った. 1992年から1994年までに動脈グラフトのみを用いてCABGを施行した139例のうち, 1本の動脈グラフトを血液供給源として2領域の冠状動脈にバイパスを行った34例68枝を対象とした. 左室壁運動改善率(%)=(術後に壁運動の改善した症例数/術前に壁運動の低下した症例数)×100と定義し, 開存66枝のグラフト吻合領域の左室局所壁運動を調べた. 1動脈グラフト2領域バイパス術症例の左室壁運動改善率は虚血領域で53.8%(7枝/13枝), 梗塞領域で38.1%(8枝/21枝), 両者を合わせた場合44.1%(15枝/34枝)であった. 対照群と比べて壁運動改善率に有意差を認めなかった. 34例の死亡率, 術後EF, 術後NYHA分類, 術後IABP使用率, 縦隔洞炎の発生率, 胸水の発生率等も対照群と比べて有意差を認めなかった. 1動脈グラフト2領域バイパス術においても左室壁運動改善効果は良好で, かつ安全性も高いことから, 本術式は動脈グラフトによるCABGの適応を広げる有用な術式であると考えられた. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:10-13)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠状動脈バイパス術, 動脈グラフト
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