Abstract : |
筋小胞体カルシウムチャネルに作用するリアノジンの心筋保護増強効果と, 形質膜L型カルシウムチャネルを介するCa2+流入の関連性について, 摘出灌流心モデルを用いて検討した. <方法>Wistar ratの心臓をmodified Krebs-Henseleit bicarbonate buffer液で20分間, working灌流し, 虚血前心機能(大動脈流量, 冠灌流量, 心拍数)を測定した. リアノジンを添加又はリアノジンとジルチアゼムを併用添加したSt.Thomas液による心停止後, 40分間の虚血(37℃)と15分間のLangendorff再灌流を行った. 次の20分間working再灌流中に虚血後心機能を測定した. <結果>心筋保護液へのリアノジン添加(1.75nmol/L)は大動脈流量回復率(%AF)を有意に上昇させた(52.2±3.5%から72.0±1.4%, p<0.05). リアノジン(1.75nmol/L)とジルチアゼム(0.13, 0.25, 0.50μmol/L)を心筋保護液に添加すると, %AFはそれぞれ50.0±2.6, 61.7±3.2, 58.3±2.8であり, 全ての濃度群でリアノジン単独添加群に比し有意に低値であった. 再灌流15分間のcreatine kinase漏出量は, ジルチアゼム濃度が0.50μmol/Lのとき, リアノジン単独添加群に比し有意に高値を示した. <結論>リアノジン添加心筋保護液による心筋保護増強効果には形質膜L型カルシウムチャネルを介するCa2+流入が必要であり, このことはcalcium-induced calcium releaseと心筋保護効果が関連を有する可能性があることを示唆している. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:19-25) |