Abstract : |
症例は7ヵ月(体重5.4kg)の女児で, 生後3ヵ月時に大動脈縮窄症に対し縮窄解除術を施行した. その後, 僧帽弁狭窄症に関して心エコー検査を中心に経過観察を行っていたが, 生後7ヵ月以降に急速に狭窄が進行し, 肺うっ血が高度となったため手術を施行した. 僧帽弁はfunnel-shaped valveに類似し, 前乳頭筋は独立して存在したが, 後乳頭筋は複数で存在し, 複雑に癒合, 短縮した腱索と連続していた. 手術は腱索開窓と前乳頭筋切開を可及的に行った上で, 十分に交連切開を施行した. その結果, 機能的弁口の拡大と弁の可動性の増加が得られ, Pp/Psは0.82から0.55へ低下し, 術中経食道超音波検査でも僧帽弁の圧較差の減少と左室容積の増大が観察された. 複雑な形態を呈する先天性僧帽弁狭窄症に対して僧帽弁及び弁下組織の形成術を行い良好な結果を得たので報告する. (日本胸部外科学会雑誌1995;43:908-912)先天性僧帽弁狭窄症(congenital mitral stenosis:CMS)は, 弁及び皮下組織が複雑な異常形態を呈する予後不良な疾患である1). |