アブストラクト(43巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 慢性透析患者に対する冠状動脈バイパス術の成績と予後
Subtitle :
Authors : 小林順二郎, 笹子佳門, 小坂井嘉夫, 磯部文隆, 中野清治, 江石清行, 鬼頭義次, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 国立循環器病センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 43
Number : 9
Page : 1625-1630
Year/Month : 1995 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 透析療法を行っている慢性腎不全患者の死亡の主因は, 虚血性心疾患である. 透析患者が増加すると共に, 冠状動脈バイパス手術(CABG)の頻度も漸増している. 慢性透析患者は, 他の臓器の動脈硬化も進行しており, CABGの手術成績及び予後が問題となる. 1990年5月から, 1994年10月までに当センターにてCABGを施行した581例中の慢性透析患者14例を対象に, 手術成績と遠隔予後を検討した. 男性12例, 女性2例で, 平均年齢は61±6.6歳であった. 1例が再冠状動脈手術であった. 冠状動脈病変は左主幹部病変2例, 3枝病変9例, 2枝病変2例, 1枝病変1例であった. 手術は12例にCABGを, 2例にCABG及び僧帽弁閉鎖不全に対する弁修復術を行った. グラフト材料は11例で左内胸動脈を, 2例で左右の内胸動脈を使用し, 1例は大伏在静脈のみを用いた. 使用グラフト数は平均2.7本であった. 手術死亡はなく, 病院死亡は2例(14%), 合併症は4例(29%)であった. 遠隔死亡は, 脳梗塞の1例(7%)であった. 術後1ヵ月以内のグラフト開存率は35本中34本の97%であった. Actuarial survival rateは3年86±9%, 3.5年43±3%であった. 術後重篤な合併症を生じた5例の左室拡張末期容積指数は平均126±34ml/m2で, 経過良好な9例の平均74±23ml/m2に比して有意に高値であった(p<0.01). (日本胸部外科学会雑誌1995;43:1625-1630)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠状動脈バイパス手術, 慢性腎不全, 透析
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