Abstract : |
70歳以上の弁膜症手術症例128例の成績と治療法の選択について検討を加えた. AVR 58例, MVR 38例, AVR+MVR 11例, 僧帽弁形成術(MVP)11例, AVR+MVP 8例, その他2例であった. 主な同時手術はCABG 7, Maze 6, TVR 5, Bentall 3である. 早期死亡は17例(13%)で早期死亡率はAVR 5%, MVR 21%, AVR+MVR 18%, MVP 0%, AVR+MVP 38%であった. 遠隔死亡は16例で43%が心臓死であった. 10年間の実測生存率はどの群もほぼ50%であった. 大動脈弁位には, 機械弁47個, 生体弁33個を, 僧帽弁位には, 機械弁37個, 生体弁12個を使用した. AVR後の人工弁関連合併症は, 機械弁では, 脳出血3例, PVE 2例, 血栓塞栓症1例, 突然死1例, 生体弁ではPVE2例, 弁機能不全(Ionescu-Shiley弁)1例で10年間のevent free rateは機械弁37%, 生体弁46%であった. MVR後の人工弁関連合併症は, 機械弁では, 弁周囲逆流, PVE, 突然死各1例, 生体弁では, PVE, 突然死が各1例で, 10年間のevent free rateは, 機械弁84%, 生体弁75%であった. AVR, MVRとも機械弁, 生体弁のevent free曲線に有意差は認められなかった. またMVP後の弁関連のeventは認められなかった. 大動脈弁位と僧帽弁位における生体弁の耐久性のちがい, 心房細動の有無, ワーファリン療法の必要性などを考慮すると, 生体弁の選択は, AVRでは意義があると考える. 一方MVRでは生体弁を第1選択としない方針である. |