Abstract : |
近年, 初回僧帽弁置換術(1st MVR)や再僧帽弁置換術(2nd MVR)後の長期生存例増加に伴い, 再々僧帽弁置換術(3rd MVR)に至る症例を経験するようになったが, その背景, 安全性, 予後については明らかではない. そこで今回われわれは, 1986年12月より1995年5月までに当院で施行した3rd MVR症例について, 同一術者による同一患者の1st MVR, 2nd MVR, 3rd MVRを比較検討し若干の知見を得たので報告する. 当院における3rd MVR症例は, 10例(弁膜症再手術140症例中7.1%, 男性6例, 女性4例), 年齢は58±8歳, 1st MVRより134±23カ月であった. 手術死亡は1例(10%)であり, 術前NYHA分類IV度の重症心不全状態に長時間の手術による心負荷が重なり低心拍出量症候群から移行した多臓器不全にて失った. 3rd MVRに至った原因は, 生体弁機能不全(65%), 弁周囲逆流(20%), 人工弁感染性心内膜炎(15%)であった. 3rd MVRは, 2nd MVRに比較し, 手術の所要時間, 呼吸管理時間, 輸血量に統計学的有意差を認めなかった. 術前術後管理, 手術手技の工夫により3rd MVRも2nd MVRと同等の安全性をもって施行しうると考えられた. |