Abstract : |
冠状動脈バイパス症例に対してICU入室後にアムリノンの持続静注を行い, 術後早期における血行動態に及ぼす影響について検討した. 対象はアムリノンを5μg/kg/minで投与したA群10例と10μg/kg/minで投与したB群8例であった. 収縮期動脈圧, 平均動脈圧, 体血管抵抗係数は両群とも投与後有意に(p<0.05)低下した. 心係数はA群で変化を示さなかったが, B群では投与3時間後において有意(p<0.05)に増加した. 心拍数, 平均肺動脈圧, 肺動脈楔入圧には両群とも有意な変化が認められなかった. Double productはA群では低下傾向を示し, B群では有意に低下した. 肺血管抵抗係数には低下傾向を認めた. 問題点として一時的な動脈圧の低下が挙げられ, 特に投与前の体血管抵抗係数が2,000dyne・sec・cm-5・m2以下の症例では, 8例中5例で収縮期圧が100mmHg以下となる低血圧が発症した. 以上より, 開心術後早期におけるアムリノンの持続投与は心拍数の増加を伴わない心係数の増加をもたらすといえるが, 低血圧の発症には注意を要すると考えられた. |