Abstract : |
収縮性心膜炎2症例に対し, 従来の心膜の剥離・切除に加え, 心外膜切開を行うことで血行動態の良好な改善が得られたので報告する. 2症例とも心膜を切除した後も, 心外膜の線維性肥厚による拡張障害が観察され, 心房圧の低下も不十分なため, メスで心外膜に切開を加えた. 心外膜切開線は, 心臓の拡張に伴って徐々に拡大し拡張障害は解除され, 右心房圧が症例1では14mmHgから6mmHgに, 症例2では22mmHgから5mmHgVこ低下した. 最終的に心外膜は縦横2~3cm大の島状になり, いわゆるHeimbeckerの報告した"Waffleの焼き型状"になった. 2症例とも, 血行動態, 心臓超音波検査上の左室拡張末期径と左室容積及び臨床症状の改善が得られ軽快退院し, その後の経過も良好である. われわれが調べた限りでは, 本邦にてThe Waffle Procedureの報告が文献上, いまだなされていないため, 自験例2例を踏まえ, 若干の文献的考察を加えて報告する. 収縮性心膜炎の治療法としては, 外科的治療が唯一有効とされ, 心膜切除術が行われてきた. しかし, 中にはその効果が不十分で手術を施行したにもかかわらず, 血行動態, 臨床症状の改善が得られない症例が認められる. |