Title : |
術前貧血を呈した小児エホバの証人信者に対する無輸血開心術の1例 |
Subtitle : |
症例 |
Authors : |
澤田吉英, 麻田邦夫, 松山南律, 長谷川滋人, 佐々木進次郎 |
Authors(kana) : |
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Organization : |
大阪医科大学胸部外科 |
Journal : |
日本胸部外科学会雑誌 |
Volume : |
45 |
Number : |
12 |
Page : |
2006-2010 |
Year/Month : |
1997 / 12 |
Article : |
報告 |
Publisher : |
日本胸部外科学会 |
Abstract : |
本人及び両親がエホバの証人信者の患者の開心術を経験した. 症例は8歳, 男児. 感染性心内膜炎による大動脈弁閉鎖不全症と無冠尖のValsalva洞動脈瘤のため手術目的で入院した. 入院時には貧血を認め他に化膿性癌関節炎, 化膿性髄膜炎を併発していた. 心不全兆候は認めなかった. エリスロポエチン, 鉄剤を投与し貧血の改善を待つ間, 化学療法により感染症の鎮静化を得た. 手術中は希釈式ならびに術中回収式自己血輸血法と小充填量心肺回路を用いて大動脈弁置換術とValsalva洞形成術を行った. 全経過を無輸血で管理し術後40日目に退院した. 様々な技術を駆使すれば小児でも無輸血開心術の可能性は高まる. 患者がエホバの証人信者の場合, 輸血を行うことはできないが, 治療を行う上でインフォームド・コンセントの実施が重要で慎重な対応が必要である. エリスロポエチンの造血効果は強く本例の手術成功に大きく寄与したと考えられた. 欧米ではエホバの証人信者等の輸血を拒否する患者に対して無輸血開心術は安全に行いうるとの報告が多い1)~5). 本邦においても無輸血開心術例が増加しつつあるが, 体格の小さい患者, 特に小児や複雑な修復が必要な症例においてはその実施が困難なことが多いのも事実である. |
Practice : |
臨床医学:外科系 |
Keywords : |
エホバの証人信者, 無輸血手術, 感染症心内膜炎, エりスロポエチン |